日本人はなんのために働いているのか考えてみる

今年度に入ってから「働き方改革」が叫ばれるようになり、紙面をにぎわせている。
うちの会社も例に漏れることなく、深夜残業・休日出勤はしないように、月残業時間はx時間内に収めるようにと推奨されている。
私は入社してから年次も浅いのでそこまで違和感なく、普通のこととして受け入れているのだが、長年長時間残業が当たり前となっている先輩方はそうもいかないようだ。

 

先輩方の言うことには、急に残業を減らせと言われても業務は減らないのだから困る、急に定時で家に帰れるようになっても家ですることがない、残業代がないと生活が立ち行かない…とのことだ。
…業務が減らないのはわかる。残業代がないと困る、というのも引っかかる点はあるにせよぎりぎりわかる。(弊社は一応、平均給与が高いと分類されるはずだが…基本給だけで生活できないというのは嘆かわしい。これが日本の現実か。)
だが、定時で家に帰ってもすることがない、とはこれいかに。私は未だにこれを聞く度に衝撃を受けてしまう。

 

私は学生時代、欧州や米国などで働く現地の社会人とお話する機会が度々あった。
その中で特に印象に残っているのはやはり「家族との時間が一番大事」とにこやかに話す人たちの姿である。
ドイツの某IT企業の社員さんは定時後一切、同僚とは関わらないという。飲み会、接待ゴルフ、休日に社内イベント…?そんなことをする暇があったら秒で家に帰って家族と過ごしたいそうだ。オーストラリアでは子どもの休みに合わせて3週間程度の休みを取得し、田舎でのんびり過ごす人が多いと聞いた。
そう、彼らは皆、家族と過ごす時間や余暇を楽しみに働いているのである。
 …すべての欧米人がそうした生活を送れているとは思わないが、少なくとも日本では「仕事<<家庭」といった価値観や、長期で休暇を取るといった発想は皆無である。
では日本人は一体何のために過酷な長時間残業をこなし、盆正月以外特に休むことなく働いているのだろうか。

 

多分答えは「自分の代わりをできる人がいないから」だと思う。
私は入社した会社以外は就活で説明を聞いたレベルでしか知らないのだが、一人が長期間休んだ場合に即座に穴を埋められる企業はあまりないのではないだろうか。
仕事はチームでやるもの、といいつつも、仕事をものすごく小さい単位で区切って考えた場合、すべての社員が何かしらの業務のプロフェッショナルになっていることは多い。しかも同一業務に2人以上のプロがいる例は稀有なのではないか。
自分の担当分の仕事は自分が消化しないと減らないし、減ったらまた新たな分担が降ってくる…その繰り返し。
しかも納期等の関係で仕事をこなすための期間はカツカツ。
そんな中で自分が休んでしまったら仕事は滞ってしまうし、ほかの人にも迷惑がかかる…そういう責任感から休めないのだと察する。

 

しかし、この状況ってどうなのだろうか。
…一般に残業が少なかったり、長期で休暇を取るのが当たり前の国の方々からすると、「誰か一人が休みをとると仕事が回らなくなる状態は不健全」なのだそうだ。
この基準からすると、日本国内で「健全な」企業ってどれくらいあるのだろう。。。

平日は上限ギリギリまで残業して帰ったら寝る生活、しかも有給は取れずにカレンダー通りのお休みしかないって…
私はどうしても、その人生楽しいですか、と聞きたくなってしまう。
「楽しいかどうかじゃねぇ、生きるために働いてんだ、仕事を趣味にしろ」と言う人が一定数いるのだが、私には苦し紛れの言い訳にしか聞こえないのである。

 

そんなに言うなら海外で就職しなさいよ、と言われそうだが…まあその通りである。
確かに、真に優秀な日本人はとっくの昔に海外しか見ていない。または起業している。
すなわち、私は日本の会社の従業員になることを選んでいる時点で二流だという自覚はある。
しかし、この日本という国はそれでいいのだろうか。
普通に定時退勤でき、長期有給休暇も当たり前の環境と仕事のやりがいの両立を目指そうとすると海外に出るしかないっておかしくないか。
…そんなことを思いながら、どうすれば自分の理想の働き方ができるのか今日もぼんやりと考えてしまった。